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先ほどご説明の中で「きっかけがないと買わない潜在的なユーザーにどう売っていくかというところが一つのポイントになる」とおっしゃっていた。先ほどの質問の中でレイトマジョリティーという言葉が出てきたが、通常考えれば、アーリーアダプターに販売する時よりもレイトマジョリティーに販売するにはコストをかけなければならないと考えられる。コストをかける一つの方法としてはプロモーションや値下げがある。今回、年末商戦で挙げられているスーパーマリオ25周年のキャンペーンや、小売店との協力によるキャンペーンというものはそれほどコストをかけなくても済む一つの売り方なのかなと思っているが、今後Wiiハードを見ていく上で御社、岩田社長はコストをかけることに対する考え方というのは、どこまであるのか。それに関連して、年末商戦のレベル感をお伺いしたい。昨年のパターンを振り返ってみると、結果として『Newスーパーマリオブラザーズ Wii』がハードをかなり牽引してくれたという結果があり、それは事前に想定されていたわけではないということを考えると、今年末商戦においても、現時点でのWiiの販売モメンタム(方向性)等々を考え、社内計画的には厳しい前提を置いているのかなと考えているが、この点についてお考えをお聞かせいただきたい。 |
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岩田: 一般的なマーケティングの考え方においては、「レイトマジョリティー層」と呼ばれる、実際に商品に興味を持たれても行動はなかなかされない、いわば、売るのが難しいお客様に対しては、より販売の効率が良くなくて、コストがかかるし、時間がかかるし、繰り返し認知を高めて興味を持っていただいて、そして、最後にお店でお買い上げいただく時に背中を押してと、何重にも物事をしなければならないんだということが言われていると思います。一方で、なぜ私どもがこの年末に、「そうはいっても(そういうお客様への販売が)期待できるのではないか」と考えているかといいますと、それは、先ほど申し上げた小売店さんがお得なオファーを出された時への反応が非常に強く出ているという先行指標とともに、もう一つ要因がございまして、実際にこういう人たちが家で物を買う時に、「家族の中での合意形成」というのが非常に重要になると考えているんです。 以前から繰り返し申し上げていることなんですが、世帯あたりユーザー数という指標があります。これは、ゲーム機を持っておられる家庭で、そのゲーム機を触っておられるお客様が、その世帯に平均何人いるか、という数字です。私たちは長年これを調べているのですが、Wiiが出るまでこの数字が3に達したゲーム機はなかったんですね。ずっとこのゲーム機(Wii)の世帯あたりユーザー数は3以上を維持できています。ということは、独り暮らしの方も含めて平均が3だということですから、4人家族の方でも、4人ともお客様であるということが非常に割合として高いということでないと3を超えるような数字にはならないんです。これを他社さんのゲーム機と比べると、はっきり傾向が違うことがお分かりいただけると思うのですが、一言で言うと、家に買って帰った時に家族のみんなが歓迎してくれそうか、歓迎してくださる家族もいるけれども、そうでない家族もいるかもしれないという状態かというのは、こういう購入に慎重なお客様が買われるかどうかという点では非常に重要だと思っているんですね。 ですから、私たちで言えば、今までの定番による積み上げにプラスして、今年年末に出る新作、例えばそれは年末に出る『ドンキーコング』だったりしますが、そういうものがあり、そしてさらに、小売店さんと組んだキャンペーンや、25周年のキャンペーン、それに向けての限定のハードなど、いろいろなものの積み上げで、そのハードルを越えていこうということで、それを全部積み上げていけばハードルを越える人は去年と同じとまではいかなくても、去年にかなり近い水準までいけるのではないかなというふうに考えています。未来のことなので、数字の保証はしようがないのですが、私たちが今マーケットをどのように見ているのかという意味では以上のようなご説明でよいかと思います。 |