4 | ニンテンドー3DSの新興国展開について。昨日、本決算の発表後にコメントをされ、比較的早い段階での展開を示唆されていたと聞いたが、価格と流通、時期について伺いたい。価格については、先進国におけるハードの価格と新興国における価格にギャップがあるという状況は、社長の考えとして許容できるかどうか。流通に関しては、どの地域が特に流通網を構築しにくいか。また、展開時期についてコメントをいただきたい。 |
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4 | 岩田: 既に日本、そしてアメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアでニンテンドー3DSは発売しているわけですが、これ以外の地域についても、いわゆる新興市場といわれる地域についても、準備ができましたら順次展開していきたいと思っています。もちろん、これにはローカライズが絡んでまいります。ローカライズ一切なしでは、本当にその市場のポテンシャルのごく一部だけにしか受け入れられませんので、ローカライズの体制作り、準備が一つのポイントになるかと思います。また、価格の問題は、単にその国にとっての値ごろ感という問題以外に、例えば保護貿易主義をとっておられる国の場合は非常に高い関税がかかってしまって、結果的にゲーム機の値段が数倍になってしまうというようなこともあります。そういうものを回避するための適切な手段があるのかどうかといったことも関係してまいりますので、それも含めて考えますと、すべての新興国に一律にということにはならないかもしれません。 |
5 | 今後の中長期的な戦略について。特にDS以降の展開を見ると、連続性のあるイノベーションの事業展開というのが御社の特徴で、その根幹にあるのは自前主義、自社発のオリジナリティーのあるアイデアを製品化していくというところだと思うが、今後戦略的に外部リソースを積極活用して事業展開していく可能性があるのか。その場合、自社の強みとしてどの部分を残し、どの部分を外部に任せるのか。それに関連して、内部留保資金の活用の使い方を含めてコメントをいただきたい。 |
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5 | 岩田: 今、「自前主義」という言葉が出ましたが、この自前主義という言葉には二面性がございまして、一方では、「自社にユニークな長所があるので、自前主義でできるのはいいこと」ともとらえられますし、一方で、「自前主義にこだわったばかりに世の中の変化についていけなかった」といった言われ方をされる時はネガティブな意味になります。任天堂の場合、ハードとソフトの両方を社内で作って、お客様が世の中でまだ味わったことのない体験を新たに提案して、それは、お客様が日頃から「こういうものがほしい」とおっしゃっているわけではなくて、目の前にわれわれがご提案して初めて「ああ、そうそう、こういうもので遊んでみたかったんだよ」と言っていただけるものを作り出すということにおいて、当然ここの部分が任天堂の生命線であると思っていますので、これをどんどん外部に依存していこうとしてしまいますと、任天堂は任天堂でなくなってしまうと思います。この部分の強化や、内部の開発陣の育成というのは、任天堂にとって非常に重要なことだと思っていますし、今後とも「任天堂はそういうことが特にできる会社だね」と言われ続けたいと思っていますし、そうあるように努力したいと思っています。 |
6 | 3月のゲームデベロッパーズカンファレンス(GDC)で、無料ゲームを作っている多数のクリエーターさんの前でゲームの量と質の話をされたと思うが、いろいろな反論も含めて、どんなフィードバックがあったか。高い価格を維持して、質を高めるためにどういう方策を考えているのか、聞かせてほしい。 |
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6 | 岩田: まず、GDCの私の講演についてですが、私自身は自分の講演の全文をウェブページに載せておりまして、実は一つ大変残念に思っていることがございます。 |