株主・投資家向け情報

2011 E3 Expo アナリスト Q&A セッション
質疑応答
Q 4-1  E3における任天堂プレゼンテーションに登壇されたElectronic Arts社以外の、他のサードパーティーのパブリッシャーはどうなっているのでしょうか?また、Wii Uにこうしたトップタイトルを招き入れるために何をされるつもりでしょうか。
A 4-1

岩田:

 ゲームにはいろいろなジャンルがあるのですが、特に西洋で人気のあるシューター系のジャンルのビデオゲームというのは、やはり映像表現力で魅力がすごく変わると言われています。

 そのこともあって、今のWiiの世代では、そういうタイトルに大きな投資をしている会社の皆さんは、Wiiで、そういう自社の看板になっているタイトルを、Wiiをトッププラットフォームとして、ソフトを作っていただくことはほとんどできませんでした。

 今回はWii Uになって、いわゆるHDクオリティーの絵が出せるようになりますから、そういうタイトルを作る上での、まずハード性能上の制約がなくなりました。

 それから、実際に我々がWii Uについて、考え方やコンセプトをご紹介すると、それぞれ大手のパブリッシャーさんは興味を持ってくださったと思います。

 昨日は、Electronic Artsさんにステージに上がってお話をしていただきましたが、ステージに出ていただいた方以外にも、(E3のステージで)お見せした開発者ビデオの中で、Wii Uに対して可能性を語ってくれた開発者やエグゼクティブの方がいらっしゃったと思います。

 その中でも語られていたように、我々が新しく提案するWii Uのコンソールには、多くのサードパーティーパブリッシャーさんの看板タイトルが集まっていくようになると思います。

 その中で、新コントローラの新しい可能性を強く活かしてくれるようなチューニングをしていただけるパートナーがいらっしゃったら、その人たちと任天堂はどう協力しあうかということを、もっと踏み込んで考えることになるはずです。なので、そういう方面においては、今までより期待していただいて良いと思っています。

(追記)
このアナリストQ&Aセッションの日の夕刻に、任天堂主催のデベロッパーラウンドテーブルが開かれ、UbisoftさんのWii Uへの取り組みについての発表がありました。これは、今回のWii Uにサードパーティーパブリッシャーの皆さんがどのように取り組もうとしておられるのかを示す1つの例になっていると思います。

Q 4-2  「協力」というのは、開発資金の支援をするということでしょうか。
A 4-2

岩田:

 いろいろな組み方があると思います。たとえば、我々と何かを一緒にしたり、分担をして協力しあったり、マーケティングに協力をしたりなど、いろいろなスタイルの協力があると思います。

Q 5  示されたスライドから、任天堂を除く今世代機の据置型ゲーム機市場は前世代機比で縮小したことが分かります。特に、多くの市場が飽和状態になり始め、新しいゲーム機も市場に登場する中で、Wiiの後継機での新しい体験が、単なるサイクルではなく成長を伴ったサイクルをもたらすものになることにどの程度自信を持っておられるのでしょうか。新しい消費者にアピールする助けとなる、今までは実現できなかったイノベーションその他についてお話しになったのは存じていますが、同時に、他の据置型ゲーム機はイノベーションをしながらもサイクルを経て縮小していました。次のサイクルでは成長するのでしょうか。
A 5

岩田:

 Wii Uを出す目的で、何にフォーカスしたいかというのは、Wiiの提案でさえ獲得できなかったゲームに興味のない人にどう自分に関係のあるものにしていくかというポイントと、もう1つ、Wiiがカバーできなかった高画質なゲームを求める人のニーズに応えていき、そこに同時に我々は新しいゲームの構造を提案することで、ゲームそのものの体験したことのない新しい遊びを一緒に提案していくということだと先ほどもお話ししました。Wiiの実績を越えていくことが容易でないことはもちろん分かっていますが、その可能性にチャレンジできると信じたから、今回こうやって発表しているので、その意味ではそういうチャンスは十分にあると思っています。

Q 6 オンライン体験について、どのように考えていますか。VoIP(*)か、ソーシャルであるか、オープンのアプローチであるか、どのようにオンラインのアプローチを考えていますか。
(*) VoIP=ボイスオーバーインターネットプロトコル、ネット上で音声データをやりとりする技術。
A 6

岩田:

 まず、今日の時点で「こういうものがWii Uのオンラインの機能です」ということをお話しする材料はないのですが、方向性だけはお話ししようと思います。

 オンラインの環境というものは、ものすごい勢いで変化しています。

 ですから、「オンラインにこういう仕組みを作ります。さあ皆さん、この仕組みに合わせてください」というやり方は、おそらく時代に合っていないと感じるようになりました。

 私は、過去の任天堂コンソールでは、オンラインの仕組みは固定的なものだったと思うのですが、これからのオンラインに関しては、任天堂はいかにフレキシブルになるかが大事だと思っています。

 実際に、この間、Wii Uのことでいろいろなパブリッシャーさんとお話しすると、パブリッシャーさんによって、やりたいことは結構違うようです。

 そういう違いを吸収できるフレキシブルなシステムを作るようなアプローチをしたいというのが、今の我々の方針です。

 ですから、たとえば、VoIPをやりたいというソフトの開発者の方がいたら、その人たちがどうしたらそれが実現できるかということを、是非サポートしていきたいと思うのですが、一方で「すべてのゲームにVoIP機能を入れてください」と必須条件にするつもりもありません。それをしたくないと思っている開発者の方もいらっしゃるからです。

 それから、ソーシャルネットワークにしても、今、Facebookその他、ソーシャルメディアの普及率を考えたときに、それと無縁でいるということは、もうできない時代だと思います。

 むしろ、ソーシャルネットワークサービス上のソーシャルグラフを、ゲームプラットフォームがどのように活用するのかを考える時代だと思います。

 ですから、そういう可能性もあわせて考えていますので、より具体的にお話しできるようになったときに、任天堂は、ソーシャルネットワークやVoIPやその他、今まで弱いと言われていた任天堂のプラットフォームが提供するオンライン機能を強化して、それが1つの固定的な仕組みにすべてを合わせてもらう方針ではなく、もっとフレキシブルな形でネットワークの環境の変化に対応していく方針であることが分かっていただけると思います。

 ただし、本日の時点では、申し訳ありませんが、何も具体的なことは申し上げられません。


このページの一番上へ