7 | 一投資家としてニンテンドー3DSの発売を見ると、任天堂は長い間市場に存在していたのと同じような形状の製品を、250米ドルという価格で、かなりソフトが少なく、私が思うには広告宣伝も足りていない状態で発売したと思えます。実際には実現しなかったことで発売時にどのようなことになることを期待していたのでしょうか? また、任天堂の携帯型ゲーム機の形状は、現時点までに時代遅れのものになっており、消費者が受け入れるとは思えない斬新的な変化ではなく、革新的な変化を起こすべきときが来ているのではないかという、より大きな問題があるのではないでしょうか? |
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岩田: まず、ニンテンドー3DSが期待どおりの販売状況になっていないと言いますか、発売日(の販売状況)は期待どおりだったかもしれませんが、その後の状況が期待どおりでないということはおっしゃるとおりだと思います。 その意味では、予約状況が非常に良かったとか、前評判が非常に高かったということと、現状での結果というのはうまくかみ合っていないわけで、我々が現状を肯定することはできないと、もちろん思っています。 ニンテンドー3DSが、まず最初に買ってくださるお客様に行きわたった後、その後の広がりのシナリオが期待どおりに機能しなかったということだと、現段階で私たちは分析しています。 結果的に、ニンテンドー3DS向けソフトの開発や、「ニンテンドーeショップ」、3D動画配信などのオンラインサービスの開始が予定より遅れたことが同時に重なって起きたために、発売前のお客様の高いご期待にお応えすることができず、ニンテンドー3DSの勢いが落ちてしまったのが今の状況だと思います。 これからソフトウェアが充実して、「ニンテンドーeショップ」や3D動画配信などのオンラインサービスが始まって、変化が皆さんの目に見えるようになっていくことで、私はニンテンドー3DSが勢いを取り戻せると考えています。 ちなみに、「形状の点で新しさが足りないのではないか」というご指摘だったと思いますが、お客様がビデオゲーム機に求めているのは、ビデオゲーム機でできる体験が肝であって、もちろん形状がより魅力的であるということは努力すべきであることは確かなのですが、今回のニンテンドー3DSの結果が、「形状が変わりばえしなかったからだ」とは私は考えていません。 ただ、「形状が原因じゃないか」というご指摘をいただいたのは事実なので、そういう面でもご満足いただけるように、今後さらに努力します。 |
8 | Wii UにBlu-rayやDVDドライブをつけて、より家庭用のエンターテインメント機器にされますか。それとももっとWiiに近い純粋なゲーム機器にされますか。 |
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岩田: Wii Uは、DVDやBlu-rayの再生機能は持っていません。 そのことによって発生する、主にこれはパテント(特許)の費用なのですが、そのことによって生じるコストアップに見合うだけのメリットがないと考えているからです。DVDプレーヤーやBlu-rayプレーヤーなどは、必要な人のところにもう十分に行きわたっているのではないかと考えています。 |
9-1 | 任天堂は円高によって製造工程に影響を受けていますか? Wii Uの製造工程についてはどうでしょうか。 |
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岩田: まず、我々は、アメリカにおいてビジネスをする上での競争力という点では円高になると当然不利になります。 一方で、世界一のマーケットはアメリカにあるわけですから、我々が(円高に対して)何の手も打たないと、アメリカでの競争力がどんどん弱まりますので、我々が製造する上で、我々が調達に使う費用、すなわち、部品の購入や、生産をEMS(製造委託サービス)にお願いするときに払う費用を米ドル建てにするように、変えつつあります。 結果、今、我々の製造原価の支払いの割合は、円建ての支払いが大半を占めていた昔と違って、米ドル建ての支払いがかなり多くを占めるようになってきました。 任天堂はIRのページに、決算のたびに、決算の説明用の資料を掲載しているのですが、その中に米ドル建ての仕入額が書いてありますから、それをご覧いただくと、我々がこの間やってきたことがお分かりいただけると思います。 |
9-2 | Wii Uの製造の難易度はどうでしょうか? |
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9-2 |
岩田: 来年の、我々が今イメージしている時期に、製造が確実にできる目処が立っているから今回Wii Uを発表しているので、その点で、たとえばスマートフォンの需要の爆発による(液晶の供給への)影響は大丈夫かとか、そういうことをイメージされてお話しされているのかもしれませんが、私自身は製造上大きな問題があるとは思っていません。 |