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2011 E3 Expo アナリスト Q&A セッション
質疑応答
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Q 1  6年前のWii発売前に、我々はブルー・オーシャン戦略、つまりラプスドゲーマー(かつてゲームをしていたが止めてしまった人々)を呼び戻しノンゲームプレイヤーを招き入れる戦略について議論していました。Wiiは、ゲームを誰にとっても身近なものにするという形でそれをうまく実現したと思います。消費者自身がおそらく気づいていなかったニーズに貴社は取り組みました。Wiiリモコンを初めて手に取った消費者は、「わぁ、私にもゲームができたんだ」と気づき、人々はすぐに引き込まれて貴社は大きな成功を収めました。新しいゲームプレイヤーに魅力をアピールできて、Wiiをすでに遊んでいる家庭内のプレイヤーをつなぎとめ、他のHD対応家庭用据置型ゲーム機からもマーケットシェアを獲得できる可能性がある、そんなWii Uが対応しようとする消費者ニーズとはどのようなものなのでしょう? 消費者をこのプラットフォームに引き込むのはどんなことだとお考えですか。
A 1

取締役社長 岩田 聡:

 まず、Wii Uというコンソールを設計する際、Wiiでできたことをさらに前進させるためには何をすべきかということを考えました。

 そして、Wiiでやりたかったけれども十分できなかったこと、それからWiiで、その当時の技術では、あるいはそのときのHDTVの普及率では無理があると思ったことについて今回は取り組むことにしました。

 結果として、我々が今提案しているものは、Wiiのアプローチでさえ獲得できなかった、ゲームに興味のない人に、何らかのWii Uと関わるきっかけを作るということと、それからWiiが満たせなかった高画質なゲームを求めるお客様のニーズに応えるということです。

 E3における任天堂プレゼンテーションのステージ上で、「コンソールというものが2つに今分かれており、片方はカジュアルゲーマー向け、片方はコアゲーマー向けとみなされている」と私はお話ししました。世の中にはカジュアルゲーマーとコアゲーマーと呼ばれる2種類の人がいて、その間に壁があるように語られていますが、(そもそも生まれつきコアゲーマーの人はおられないので)カジュアル(ゲーマー)としてゲームを始めた初心者の人が、ゲームに深い興味を持たれて、だんだん長い時間エネルギーを注ぎこまれるようになることで、コアゲーマーになられるのだと思いますから、(Wii Uでは)この間がちゃんとつなげられるような環境を作ることで、継続的にゲーム人口をより増やしたいと思っています。

 “ブルーオーシャン”というのは、何にでも広く対応しようとすると、どれもが中途半端になるので、「あえてここは捨てる」とか、「削る」ということによって、何か特定のことに絞り込むという考え方として紹介されています。

 特に“ブルーオーシャン”のことを挙げて質問されたということは、今回我々がやろうとしていることが、フォーカスを失っているという見え方をしている可能性があるのかもしれません。

 その意味では、私たちのフォーカスには2つのポイントがあって、1つはWiiリモコンやバランスWiiボードを使った提案でさえゲームに振り向かなかった人に、どうすればWii Uが自分に関係のあるものになるかということ、もう1つは、この業界でゲームを作っているすべての人たちに「自分の作るゲームはWii Uで最高の性能を発揮できる」と思ってもらうことです。

Q 2  貴社は、携帯機と新しいゲーム機の両方について大きなプロダクト・サイクルのかなり興味深い転換点にあるようですが、投資家からは、株価の低迷に見られるように懐疑的な見方もあるようです。過去において行ったように自社株買いをするということを検討されていますか? また、していてもいなくても、その理由は何でしょうか?
A 2

岩田:

 当然、(自社株買いをすることは)選択肢の1つだとは思いますが、フェア・ディスクロージャー上、こういう場で、するとかしないとかについて申し上げられないことをご理解ください。当然ながら、いろいろなことを選択肢として考えています。

Q 3  Wii Uのほうが魅力的ですので、潜在的な消費者がWii本体やWiiのゲームを買い控えてWii Uの発売を待つということを私は心配しています。そういった懸念にどのように対処されるつもりでしょうか?
A 3

岩田:

 どんなプロダクトでもそうですが、世の中に提案すると、新しいものがまだ世の中で評価が定まっていない段階にいち早く試してくださる人と、それからプロダクトの評価がある程度定まって、それを選ぶことに実利があると判断してから購入してくださる人、そして世の中の大多数が所有する段階になってから購入してくださる人というように、それぞれ段階によって動く人のタイプというのが違うと言われています。

 ですから、これからは、そういう中でも、特に購入を慎重に決めるタイプの方たちにWiiを販売しないといけないわけです。

 そしてその方たちは、Wiiが社会現象のようになっても購入していただけなかったのですから、購入するために適する理由を私たちが提案できないと購入してくださらないと思います。

 去年も、一昨年もそうだったのですが、春から秋くらいにかけてのWiiの販売の伸びがあまりよくなくて、非常にご心配をおかけしましたが、年末になるとWiiがまとまった量売れて、結果的に年間のマーケットシェアで見ると、Wiiがトップシェアになるということが繰り返されました。

 結局、我々のビジネスはすでに、このような方たちを対象にするような段階に入っている以上、どうしても年末商戦中心になるわけです。

 その年末商戦のときに、いかにバリューを感じてもらい、そして「Wiiが家にあれば、年末休暇を、友だちや家族と一緒に、いかに幸せに過ごせるか」ということを伝えるのが私たちの仕事です。今年の年末休暇を幸せに過ごすことは、来年発売されるWii Uでは絶対に実現できないわけですから。逆にWii Uをいちばん最初に買ってくださる人たちは、たいてい既にWiiを持っておられる方々ですから、私は直接競合しないと思っています。むしろ、他のHDコンソールを買いたいと思っているお客様が、「Wii Uが出るから来年まで待とうかな」と思っていただけるようになるのが、任天堂にとってはいいシナリオと言えるのではないでしょうか。

Reggie Fils-Aime, President & COO Nintendo of America Inc.:

 Nintendo of Americaから3点追加させてください。まず、我々は最近、1カ月弱前に、Wii本体の販売仕様を変更しました。ここアメリカ市場で2番目によく売れているWiiタイトルである『マリオカートWii』を追加同梱し、大変お買い得なご提案となっています。また、価格も149米ドルとしました。この取り組みにより、すでに好調な勢いが見られます。

 2つ目に、我々は「Nintendo Selects」と呼ばれるシリーズのゲームを発売したばかりです。19.99米ドルというお買い得な価格でご提案しており、この短期間で大変好調に売れています。今現在お買い求めいただいている消費者の方にとって、今後も大変お得なご提案となることを確信しています。

 そして3つ目は、北米あるいはNintendo of Americaの全体的視点から強調して申し上げたいのですが、我々はさらなる普及のために、我々の(販売)領域におけるチャンスを模索し続けています。その機会が、たとえばラテンアメリカ市場といった地域的なものであれ、民族的なものであれ、ヒスパニックの消費者が我々にとって重要な機会をもたらすことを認識しています。彼らは、我々が任天堂の製品群としてあてはめている“家族で遊べることでの価値観”を共有しています。さらに、対象となる年齢層の点もあります。Wiiに魅力を感じたり購入したいと思っていても、まだ購入されていない年齢層があるのです。もちろん、岩田が申し上げたように、特に、『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』の発売を受け、我々もホリデーシーズンが好調になることを心待ちにしています。また、我々が注目し続けてきた個々の地域ベースのチャンスも、ホリデーシーズンに先駆けて我々にはあるのです。

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