3-1 | 携帯型ゲーム機の収益性について聞きたい。携帯型ハードに関しては、そこそこ利益がとれていたという一方で、ソフトのマージンは、据置型と比べるとやや低いという形だったと思う。こうした中で、携帯型ハードの販売で損失が出るのであれば、収益性は低下するのではないか。それを補うべく、アイテム課金やARカードを使っての課金など新しいマネタイズの方法論、もしくは当社独自の方法論をこれから打ち出す可能性はあるのか。 |
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3-1 | 岩田: 「携帯型ゲーム機はずっと利益がとれてきたのではないか」というお話ですが、例えば、任天堂が初代のニンテンドーDSに1万5,000円という値段をつけた時に、収益に余裕があったかと申し上げますと、それほどなかったと認識しています。今回の(値下げ後の)3DSの方がより苦しいという点では事実ですが、過去の携帯型ゲーム機はすべて収益に非常に余裕があったかというと、決してそうではありませんでした。ただ、台数をつくることによって生まれるコストダウン効果というのはそれなりに大きく、ニンテンドーDSも、あるところから先は製造原価が量産効果によって下がったことと、世界中で非常に勢いよく普及しましたので、結果としてハードそのものでも利益を上げさせていただくことはできたと思います。ですから、携帯型ハードというのは、もともとハードで利益をとってソフトのマージンが据置型より低くてバランスがとれるというよりは、ビジネスがうまく回ってプラットフォームがうまくいくと収益性が高くなるということとお考えください。すなわち、勢いがついてハードとソフトの両輪が回り出してハードのコストダウンが進み、ソフトに関しては開発費とマーケティング費が出費の大半ということになりますから、それらを何本で償却するのかで収益性というのは変わるわけで、特に長期にわたって安定して売れるような、世の中で「おばけソフト」と言っていただけるようなものが生まれますと、途中からは非常に効率が良くなるわけです。ですから、そういうものを生み出せるかどうかが、ビジネスの段階において非常に重要なわけです。 |
3-2 | 遠くない将来というのは、この2012年3月期中に何か具体的な動きがあると思っていいのか。 |
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3-2 | 岩田: 当期中にもありますし、来期になりますとその厚みがだいぶん増してくると思っています。 |
4 | 3DSの販売状況、各地域の状況について教えてほしい。特にどの年代層が購入しているのか。そして逆に普及していないところでのボトルネックは何か。とりわけ6歳以下のお子さんの目への影響で、親御さんが子どもさんに買い与えにくいのではないかという懸念点についてどうなっているのかということと、今回の値下げでこの辺りのボトルネックがうまく解消される可能性について聞きたい。 |
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4 | 岩田: ニンテンドー3DSの発売は年末商戦期ではありませんでしたし、当初のソフトラインナップは、当社が発売しました『nintendogs + cats』、あるいはまだ日本でしか出ていないレベルファイブさんの『レイトン教授と奇跡の仮面』といったソフトを除いては比較的ゲームを熱心に遊ばれる方中心の構成でしたから、主に若い男性の方が多く、任天堂のプラットフォームとしては、購入者の女性比率は低いです。一方で、ゲーム機というのは単純ではなく、「誰に買っていただけるか」と「誰に使っていただけるか」は、実は別なんです。家にニンテンドー3DSがやって来ますと、家族の中で共有をしていただくことになりますので、実際の女性のお客様の割合は、購入者の(女性の)割合よりは高くなります。ですが、最初に購入いただいたなかで一番多いのは、若い男性層のゲームに対する熱心なファンの方たちと言えると思います。もちろん、お子様も含まれていますし、『nintendogs + cats』で3DSを買っていただいた女の子も当然たくさんいらっしゃるのですが、どういうお客様が多数派であるかというと、そうなると思います。これは、キャンペーンの違いもあるため、日本以上に、海外でより顕著な傾向にあります。 |