本日は、お忙しい中、当社の経営方針説明会にご参加いただき、ありがとうございます。社長の岩田でございます。
みなさんに本日の説明会のご案内を差し上げた際に、当社の代表取締役の一人として、製造本部担当の専務取締役の永井の出席をお伝えしておりました。しかし、本当に突然のことでしたが、5日前の1月22日に急逝いたしました。生前のみなさまのご厚情に感謝申し上げるとともに、謹んでご冥福をお祈りさせていただきたいと思います。
決算の数字につきましては、先ほど、専務の森からお話しさせていただきましたが、昨年、いかに大きな経営環境の変化があったとはいえ、四半期決算で3回続けて業績予想の下方修正をせざるを得なくなったことに、責任を痛感しております。
来期以降の業績回復の決意と見通しについてお話しするのが、本日の説明会の主題ではありますが、その前に、足下の現状をご理解いただくために、
世界のゲーム市場における昨年の年末商戦の状況について、お話ししたいと思います。
特に、前回の決算説明会のタイミングでは、まだ、ニンテンドー3DSの販売が全世界的に加速する前でしたが、11月以降、有力ソフトが発売されたこと、年末商戦の追い風を受けたことなどもあり、
世界各地で、ニンテンドー3DSハードの普及の勢いが加速しました。
具体的に、それぞれの地域における普及の勢いについて、ご説明したいと思います。
これは、日本市場において、いろいろなプラットフォームが発売から1年間でどのように普及台数を伸ばしたのかを、メディアクリエイトさんのデータで比較したものです。
途中までは、普及ペースが順調とは言えなかった赤色のニンテンドー3DSが、値下げをきっかけに販売を伸ばし、特に、『スーパーマリオ 3Dランド』・『マリオカート7』・『モンスターハンター3(トライ)G』等の有力タイトルが揃った年末には、期待通りの爆発的な販売状況となりました。年末にはDSやWiiより早く400万台を突破したというニュースが流れたのを、覚えておられる方も多いと思います。しかし、この普及ペースは、年末の時点では日本のゲーム史上最速ではなく、ゲームボーイアドバンスの普及ペースを下回っていました。しかし、年明け以降もニンテンドー3DSの販売の勢いは持続しており、2週間前に史上最速の普及ペースの記録を新たに塗り替えました。
こちらは、アメリカでのデータです。カナダや南米は含んでいない、アメリカ合衆国内のみの販売数です。週毎のデータはNPDから発表されていませんので、これは自社のデータ集計に基づくものですが、こちらも、年末でちょうど400万台に到達しました。アメリカでは『モンスターハンター』のソフトは3DS用に発売されていませんが、2つのマリオタイトルの発売と共に、急速に販売が伸びたことがわかります。
ただ、アメリカでは、ニンテンドーDSの最初の1年は普及ペースが良くなかったですから、DSよりも遙かに良いペースで売れているということだけでは、「ニンテンドー3DSは順調に売れている」ということに対して説得力はありません。こちらがWiiの販売推移ですが、昨年末の時点では、Wiiの普及台数を上回るところまできました。
アメリカにおいても、ニンテンドー3DSが存在感を示せないという非常事態からは抜け出し、これから、本格普及を目指す土台を築くことは達成できたと思います。
こちらは、ヨーロッパのデータです。ヨーロッパでは、ニンテンドーDSの発売1年目にも、『nintendogs』のヒットにより、アメリカより良いペースで推移していましたが、2つのマリオタイトルが揃ってからのニンテンドー3DSは、これを上回るペースで加速し、12月には、ヨーロッパ全体のハード販売台数では、ニンテンドー3DSがトップシェアになり、大きく販売を伸ばしました。
このように、ニンテンドー3DSは、有力タイトルが揃った年末商戦で、大きく販売を伸ばし、WiiやニンテンドーDSよりも速い普及ペースを実現することができました。
昨年夏にニンテンドー3DSの販売ペースが悪かった時点では、「スマートフォンがあれば、もはや携帯ゲーム機に市場はないのでは?」というような「携帯型ゲーム機不要論」のような極端な論調もありましたが、それが間違いであることを証明できたと思っています。
しかし、その一方で、
昨年10月末時点で想定していた計画に対しては未達となり、業績予想を見直す要因にもなりました。
アメリカやヨーロッパの市場は、人口が多いこともあって、アメリカが日本の2.5倍くらい、ヨーロッパが日本の2倍くらいのスケールがあります。新製品の普及ペースは多くの場合日本の方が早いので、発売初年にこの比率で売れなければいけないということではありませんが、それでも、市場規模から考えて、アメリカやヨーロッパでは、昨年末には日本以上に販売を伸ばすことを計画していました。
しかし、昨年はアメリカ、ヨーロッパとも、年末商戦の立ち上がりが例年に比べて遅く、販売が盛り上がってからもその不足分を取り戻すことができなかったために、販売総量は計画に届きませんでした。最終的な年末時点での勢いはほぼ想定通りになったことを考えると、それをもう少し早く立ち上げられなかった、というところに、私たちの反省材料があります。
さて、ニンテンドー3DSだけでなく、ゲーム市場全体について、手短にお話しします。まず最初に、日本の市場についてです。
これは、日本の据置型ハードの販売推移です。
年末商戦期にWiiの販売も伸びましたが、ファミリー層のアテンションがニンテンドー3DSに集中したことが影響し、前年と比較して年末商戦の盛り上がりが遅く、そのピークも小さく推移してしまいました。ソニーさんのPS3は、前年並みの実績を残されましたが、昨年末には1週間に10万台以上販売できた据置型ハードはなく、市場において大きな存在感を示すことはできませんでした。