ソフトメーカーさん、特に海外のソフトメーカーさんのマインドの変化がみなさんにもより強く実感していただけるのではないかと思います。
また、今期は、アジア地域でのニンテンドー3DS販売を本格化してまいります。
すでに韓国では明日4月28日から発売することを発表させていただいておりますが、アジアのそれ以外の地域におきましても、今期、順次発売していく予定です。具体的な発売日や価格の情報については、それぞれ現地から発表させていただきますので、続報をお待ちください。
また、ゲームビジネスを取り巻く環境の変化への対応という意味でも、新しいビジネス機会の創出という意味でも、デジタルビジネスの大幅な拡大を目指していく、というのは、1月の経営方針説明会でもお話ししたとおりです。
デジタルビジネスを展開するための土台となるのが、インターネット接続率となりますが、ニンテンドー3DSは、徐々に接続率が向上し、日本とアメリカの市場では、セルスルー台数に対してインターネット接続を経験したハードの台数は、70%を超えるまでになりました。これは、これまでの任天堂の携帯型ゲーム機の中で最も高く、かつ、時間経過と共に徐々に向上するという健全な推移となっています。ヨーロッパやオーストラリアの市場では、この接続率は約50%と、まだ満足できる水準ではありませんが、過去の携帯ゲーム機と比較すると飛躍的に向上しています。
また、一度接続して終わりではなく、ニンテンドーeショップに繰り返し接続していただけるお客様の割合も、WiiやニンテンドーDSiなど、過去の当社のプラットフォームに比較して圧倒的に大きくなり、これは、年明け以降も継続しています。
もちろん、現在のニンテンドーeショップには、さらなる改善の余地がありますが、デジタルビジネス展開のための土台は整いつつあるという手応えを感じています。
先ほどもお話ししたように、先の「ニンテンドーダイレクト」で、2Dのスーパーマリオの完全新作、『New スーパーマリオブラザーズ 2』を8月に発売することをお伝えしましたが、
このソフトから、従来のパッケージ形態でのソフト販売に加えて、パッケージソフトのデジタルディストリビューション、いわゆるダウンロード販売に取り組むことにいたしました。これ以降は、当社発売のソフトについては、原則として、パッケージとデジタルの2つの形態で、併売させていただき、お客様に選択していただけるようにいたします。
同じくこの夏に発売予定の『鬼トレ』、正式名称や発売日は、後日お知らせいたしますが、このソフトにおいても、このパッケージとデジタルの併売を行う予定です。
パッケージとデジタルの2つの形態には、それぞれ、別々のメリットがありますので、お客様に選択していただくというのが、私たちのスタンスです。
デジタル形態でダウンロードしたソフトは、お客様のSDカードに格納され、ダウンロードした本体のみで使用できるため、ゲームカードで行われてきたご家族やお友達の間でのソフトの共有ができませんし、ソフトを格納するためのSDカードの空き容量が必要になります。一方で、インターネットを通じて購入ができ、品切れの心配もありませんし、複数のゲームカードをお持ちいただくことなく、同時に複数のパッケージソフトを持ち歩いていただきやすくなります。当社のソフトで例を挙げれば、『nintendogs』や、『どうぶつの森』、『トモダチコレクション』のような、毎日コミュニケーションを楽しんでいただくようなソフト、あるいは、『鬼トレ』のようなトレーニングソフト、『花といきもの立体図鑑』のようなデータベース系ソフトは、ゲームカードを持ち歩かなくても本体に格納できるというのは、メリットを感じていただきやすいでしょうし、このようなゲームでなくても、複数のゲームを並行して遊んでいただく際には便利に感じていただけるのではないかと思います。私たちは、パッケージとデジタルのそれぞれのメリットを、これから丁寧にお客様にご説明して、それぞれのお客様のお好みに合わせて選んでいただけるようにしていきます。
また、一般的にソフトのデジタルディストリビューションでは、販売に小売店さんが介在しない形態を目指すというアプローチが主流のようです。しかし、私たちは、小売店さんに能動的に関与していただくアプローチを選択することにしました。
もちろん、デジタル形態のソフトは、最終的にはニンテンドーeショップから、デジタルデータをダウンロードしていただく必要がありますが、商品の選択と購入決定、そして決済については、各小売店さんとニンテンドーeショップのどちらでもできるようにしてまいります。
小売店さんの店頭や、小売店さんのオンライン・ショッピングサイトで、商品の選択と購入決定、そして決済を行っていただき、そこで16桁のソフト引き替え番号を発行していただいて、それをご覧いただいているように、ニンテンドーeショップに入力していただくということで、購入が可能になる仕組みがすでに用意されています。
「一見、面倒に見えるこんなことに何の意味があるのか」と感じられる方もおられるかもしれません。しかし、このように小売店さんの店頭で支払いを済ませるという方法は、多くのお客様がすでに慣れておられるがゆえに、わかりやすく、かつ、心理的な抵抗も小さいという特徴があります。現在、ダウンロード販売の障害になっていることとして、クレジットカード番号を入力することを不安に思われるお客様がおられることや、年齢によってクレジットカードや携帯電話での決済手段がご利用いただけないお客様がいらっしゃることなどがありますから、お客様にとって「いつも慣れている方法でソフトにお金を支払っていただく」という方法は、お客様に購入いただくハードルを下げることにつながると感じています。
さらに私たちは、デジタルビジネスを拡大していくための最大のハードルの1つは、「デジタル商品を認知していただくための露出手段が、限定されていることにある」と考えているからこそ、このようなアプローチを採ろうとしています。
先ほどもお話ししたように、ニンテンドー3DSでは、ネット接続率はこれまでの任天堂の携帯ゲーム機の中で最も高くなりましたし、ニンテンドーeショップへの訪問率や頻度も、WiiやニンテンドーDSiより、遙かに高くなっています。
パッケージソフトのダウンロード販売は、もちろんニンテンドーeショップでも行いますが、これから私たちが展開するデジタル商品の存在が、ニンテンドーeショップに能動的に足を運んでいただけるお客様にだけしか気づいていただけなければ、これからのデジタルビジネスが、飛躍的に拡大することはありません。
任天堂の基本戦略は、ゲーム人口の拡大であり、年齢・性別・ゲーム経験の有無、そしてインターネット関連の知識や経験の有無にかかわらず、あらゆるお客様を対象にしていく必要があります。
その観点では、私たちは、デジタルビジネスの飛躍的な拡大のためには、デジタル商品の露出面積を拡大することがどうしても必要だと考えました。