株主・投資家向け情報

2013年4月25日(木)決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡
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本日は、お忙しい中、当社の決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。社長の岩田でございます。

決算の数字につきましては、先ほど、専務の森からお話しさせていただきましたので、私は、まず、年明け以降の世界のゲーム市場における足下の状況、ならびに、任天堂の今後の展開についてお話しさせていただきます。


今日は、いつもより少しコンパクトに、年が明けてからの世界のゲーム市場の状況をお知らせするため、前回同様


このような形で、お示ししたいと思います。
これは、昨年の1月から3月までの、日本、アメリカ、ヨーロッパと、ハードの市場シェアを比較したものです。
このようにご覧いただくと、日本と、アメリカ、ヨーロッパでは、市場の状況が大きく異なることがおわかりいただけると思います。トップシェアのプラットフォームも異なりますし、日本では圧倒的に携帯型プラットフォームのシェアが高く、西洋では、ホームコンソール型のシェアが高くなります。

任天堂は、年末商戦期である10〜12月期にはほぼ毎年、市場での存在感を高めることができているのですが、例年、年が明けてからのこの時期には、市場シェアが低下しやすい傾向があります。これが、今年どのように変化しているか、ということで、ご覧ください。


こちらが、今年の1月から3月までのグラフです。
昨年と比較すると、ニンテンドー3DSの市場シェアは、日本では昨年と変わらず、アメリカやヨーロッパでは、若干改善しています。
市場規模全体は、日本はハードの販売台数が前年対比で1%プラスですが、アメリカは約25%減少、ヨーロッパは約29%減少と、足下の市場全体の勢いがありません。その中で、ニンテンドー3DSは、日本では、昨年年末からの勢いをそのまま引き継ぐ形で好調に推移し、昨年に対して若干のプラスです。一方で、アメリカやヨーロッパでは、市場全体が大きく減少する中で、3DSも前年実績を下回っているのですが、相対的に市場シェアが上昇しているという状況です。
また、アメリカやヨーロッパの市場が縮小する中で、市場全体に占める日本市場の割合が高まったこともあり、日米欧合計では、ニンテンドー3DSの市場シェアは昨年の25%から29%と上昇しています。
アメリカ、ヨーロッパでは、昨年の年末商戦でニンテンドー3DSの勢いを出し切れませんでしたので、年が明けた時点での状況は決して良くありませんでした。しかし、アメリカでは2月に『ファイアーエムブレム』、3月末にはアメリカ、ヨーロッパで『ルイージマンション2』が発売され、共にお客様から高いご評価をいただき、また、自社ソフトではありませんが、『モンスターハンター3(トライ)G』の海外版である『モンスターハンター3 Ultimate』も3月に発売されたことで、直近には、ニンテンドー3DSの勢いが徐々に改善されつつあります。
一方で、Wii Uについては、発売時には順調なスタートを切りましたが、年明け以降、新作ソフトの投入が途切れてしまい、勢いの維持ができませんでした。本来であれば、この時期、Wii Uは、市場でもう少し大きな存在感を維持していたいと考えていましたが、現状はじっくりと普及に取り組んで勢いを構築しなおす必要がある状況です。

また、ご覧のように、ヨーロッパの任天堂プラットフォームシェアは、他地域に比べて低い状況にありますが、実際には、状況は国ごとにかなり異なります。


こちらが、同じグラフを、ヨーロッパ各国ごとに比較したものです。
任天堂がヨーロッパで市場シェアを高められていないのは、ヨーロッパ最大市場のイギリスで状況が良くないことが大きな要因になっています。ご覧のように、フランスやベルギー、ドイツなどでは、ニンテンドー3DSの存在感が高まっていることがおわかりいただけると思います。事実これらの国々の直近のヒットチャートには、複数のニンテンドー3DSタイトルがランクインしているほか、今後のタイトルへの期待感も高まっており、普及に向けて手応えが出つつある状況になっています。


さて、今日お集まりの皆様の最大の関心事は、過去のことではなく、これからのこと、すなわち、今期に任天堂がどのような展望を持っているのかだと思います。

すでに、1月の経営方針説明会で、今期は、現状の為替トレンドを前提に、当社の海外事業の勢いを再生し、営業利益1000億円以上を目指す、ということを、経営陣のコミットメントとしてお知らせいたしました。


現状の為替トレンドは、1月末の時点よりも円安傾向にありますが、為替レートについては、簡単なきっかけで大きく動く不安定な状況がしばらくは続く可能性があると考えています。このため、私たちは、今期の業績予想を出す上での想定為替レートを、1月末にこの目標をお知らせした時点で想定していた水準と同じ、1ドル90円、1ユーロ120円という、足下の為替水準よりは保守的な水準を前提として、営業利益1000億円を今期の業績予想としてお知らせしました。

今期この目標を達成するために、最も重要になるのが、


海外市場においてニンテンドー3DSビジネスを活性化することです。
日本の市場においては、今、十分な勢いがあり、1月末の時点で今年のキータイトルとしてお話しした、『ドラゴンクエストVII』はすでにミリオンセラーとなり、『とびだせ どうぶつの森』や『ルイージマンション2』が高水準で売れ続けており、先週発売した『トモダチコレクション 新生活』も良いスタートを切っています。これから、『モンスターハンター4』、『ポケットモンスター X・Y』と主軸になるソフトも発売を控えています。このように、すでに普及の軌道に完全に乗ったと言える日本市場の勢いをしっかり維持しながら、3DSを海外市場でいかに日本のように大きな存在感があるプラットフォームにしていくのか、ということが、今期の目標を達成する上での最優先課題だと考えています。


1月にもお話ししたように、今期は、ニンテンドー3DSの海外向けの強力な自社ソフトラインナップを1年を通じて途切れなく発売できるよう用意しています。
とくに、今年前半には、6月の『とびだせ どうぶつの森』発売までに、ニンテンドー3DSビジネスを海外で活性化することを最重要課題として、集中的に有力ソフトを市場に投入する予定をしています。


ニンテンドー3DSの有力ソフトの充実については、2月、4月の2回のNintendo Directでご紹介してきましたが、具体的にはご覧のような発売予定になっています。このように、年間を通じて、大きな切れ目なく、自社の有力タイトルが発売できる見通しが立っていますので、ニンテンドー3DSのプラットフォームとしての勢いを、海外市場でも本格的に加速していくことができると確信しています。



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