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2013年10月31日(木) 第2四半期決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡
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本日は、お忙しい中、当社の決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。社長の岩田でございます。
決算の数字につきましては、先ほど、常務の君島からご説明させていただきました。上半期決算は、円安が進んだことで経常利益では4年ぶりに黒字となりましたが、Wii Uの海外市場における値下げにより、小売店さんの在庫補償に加え、当社グループの完成品在庫の評価替えや下期向けに製造するハードの損失が拡大することを見込んだ影響が大きく、営業赤字となりました。
当社は中間配当を上半期の営業利益に連動してお支払いする方針を掲げており、中間配当を3年連続お支払いできない状況となっていることについてお詫び申し上げます。


今日は、まず、今期に入ってからの世界のゲーム市場における足下の状況、ならびに、年末商戦の見通しについてお話しさせていただきます。前回の説明会同様、日本、アメリカ、ヨーロッパと、ハードの市場シェアの推移でご説明したいと思います。


これは、4月の決算説明会でもお見せした、今年の1月から3月までのハードの市場シェアです。
これまでも繰り返しお伝えしてきたことですが、日本では携帯型ゲーム機の市場シェアが高く、その中でもニンテンドー3DSが特に好調です。一方で、アメリカやヨーロッパでは、ニンテンドー3DSの存在感が日本に比べて小さく、4月の決算説明会においても、「ニンテンドー3DSの今期の最優先課題は海外市場の活性化である」とお伝えしていました。


こちらが、今年の4月から9月までのグラフです。期間は、月に一度しか発表されないアメリカのNPDデータの集計期間に合わせていますので、アメリカのデータは4月7日〜10月5日まで、日本とヨーロッパのデータは、4月8日〜10月6日までのデータになります。
ご覧のように、日本市場だけでなく、海外市場でもニンテンドー3DSの市場シェアが高まっていることがご確認いただけると思います。その意味で、「今年3月以降、自社の有力ソフトを集中的・積極的に投入したことで、今年度の最優先課題である海外市場でのニンテンドー3DS市場の拡大に手応えを感じる結果が出ている」と言えるのですが、その一方で、ニンテンドー3DSの市場シェアが高まっているのは、単純にニンテンドー3DSの販売台数が増えているからではなく、プラットフォームのライフサイクルの端境期の影響もあって、 前年対比で日本でマイナス約10%、アメリカやヨーロッパでマイナス約30%と、特に海外市場でゲーム専用機市場全体のハードウェア販売台数が大きく減少している中で、ニンテンドー3DSの存在が相対的に大きくなっているという側面もあります。もちろん、ニンテンドー3DSのソフト市場は前年度以上に拡大していますので、ゲーム市場の中で、ビジネスが成長しているプラットフォームとして、存在感が大きくなっている、ということには間違いはありません。
海外市場で市場シェアが増しているのに、ニンテンドー3DSの今上期出荷台数が前年対比マイナスになっていることに違和感をお持ちの方もいらっしゃると思うのですが、このような要因に加えて、昨年、日本とヨーロッパで7月に、アメリカに8月に、ニンテンドー3DS LLの発売があったことも影響しています。
また、4月にもご紹介しましたが、 ヨーロッパの任天堂プラットフォームシェアは、国ごとにかなり状況が異なりますので、国ごとの市場シェアもご覧ください。


こちらが、同じグラフを、ヨーロッパ各国ごとに比較したものです。
4月の決算説明会でご紹介した1〜3月のデータと比較すると、イギリスで8ポイント、フランス・ドイツで12ポイント改善など、全ての国で大きくニンテンドー3DSの市場シェアが上昇しました。課題であったイギリス市場における市場シェアも改善しましたし、特にフランスでは、月間のハード市場シェアが、50%に達するという日本市場並みの存在感を示すことができた月もありました。


直近の9月については、日本市場と海外市場で、大きく異なる傾向が出た月でしたので、少しくわしくご説明します。
日本市場では、カプコンさんの『モンスターハンター4』の発売により、ニンテンドー3DSの販売が大きく伸び、市場シェアも8割以上になりました。一方で、海外市場では、他社さんのコンソール型ゲーム機向けの『グランド・セフト・オート5』というソフトが大ヒットしたほか、ヨーロッパで特に人気のあるサッカーの定番王道ソフト『FIFA 14』も発売されたこともあり、9月には他社さんのコンソール型ゲーム機の販売が伸び、これらの影響でニンテンドー3DSの市場シェアが、一時的に少し下がってしまいました。これは、ニンテンドー3DSの販売が失速したということではなく、この時期、他社さんのゲーム機の販売が伸び、特にヨーロッパではその傾向がより顕著だったということです。


10月12日に、ポケットモンスターシリーズの最新作、『ポケットモンスター X』『ポケットモンスター Y』を、シリーズで初めて、世界同時発売しました。発売2日間で400万本以上販売と、大変好調なスタートを切ったことは、すでに報道されているとおりですが、このソフトの発売以降、ハードの販売シェアも大きく変わりました。


10月のNPDデータはまだ発表されていませんし、10月のデータは、日本が10月7日〜10月27日までの3週間分、ヨーロッパは10月7日〜10月20日までの2週間分しかありませんが、足下の状況をお知らせするために、部分的なデータを元にご説明します。
『ポケットモンスター X・Y』の発売により、日本でも、ヨーロッパでも大きくニンテンドー3DSの販売が伸びており、それが、市場シェアに現れています。他社さんのデータがありませんので、ここにデータをお示しできませんが、アメリカでも、ニンテンドー3DSハードの販売は大きく伸びていることは、ヨーロッパと同じです。
ゲームビジネスは、10〜12月の決算期における第3四半期が、最も需要が大きく、その成否で、通年の業績が大きく左右されますが、ニンテンドー3DSについては、非常に良い状態で年末商戦に向かっていける状況になったと申し上げてよいと思います。


ちなみに、ヨーロッパの国別で9月の市場シェアをご紹介しますと、9月には一時的に、各国で大きくニンテンドー3DSの市場シェアが落ちてしまいましたが、


これがポケモン発売週以降の2週間分のデータになると、ご覧のように、各国でのニンテンドー3DSの市場シェアが向上し、ニンテンドー3DSの存在感は大きく向上しています。
このように、ポケモンは良いスタートを切ることができましたので、この勢いをそのまま、年末商戦のピーク時まで、如何に維持し、より大きな普及を図るか、ということが考えられる段階になりました。



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