Wii U版の『スマブラ』と同時に、新カテゴリー商品として発売したamiiboについてですが、当期末の時点で、全世界合計の出荷数は、約1050万体に到達しました。昨年末の時点で約570万体でしたので、年末商戦期を過ぎてからの伸びとしては、非常に大きなものであると言えます。ゲームソフトに比べますと手ごろな価格ですので、季節を問わずに、順次買い足していただけているのではないかというのが、私たちの分析です。
また、一部のフィギュアについては、品切れによりご迷惑をおかけしております。発売から短期間で品薄になったamiiboや、特定のamiibo以外では遊ぶ術のないソフトがある場合、お客様や販売店様から多くのご要望がある場合などでは、順次増産対応を進めております。しかしながら、どうしてもこのようなフィギュアは製造に時間がかかりますし、商品の棚面積も有限ですし、まだ需要がどこまであるのか私たちにも見通せていないこともあって、「いつまでに解消できる見込み」というお約束ができる状況になく、大変申し訳なく思っております。
一方で、amiibo対応ソフトは順次増えておりますし、発売時には低かったお客様の商品認知についてもかなり向上してきましたので、これから、さらなる拡販が期待できる状況になっていると思います。
ちなみに、これは直近のamiiboの地域別の出荷比率を表す円グラフです。グラフの赤でお示ししているのはアメリカとカナダの合算ですが、この北米地域の割合が、全出荷数の66%と非常に大きく、全体の中で圧倒的な存在感を見せています。
また、今年の展開としては、これまでのフィギュア形状のamiiboに加え、あみぐるみヨッシーのamiibo、そして、カード形状のamiiboを展開していく予定です。
また、このカード形状のamiiboを活用する第1弾ソフトは、『どうぶつの森 ハッピーホームデザイナー』というニンテンドー3DS向けソフトですが、最初からNFCリーダーライター機能を搭載するNewニンテンドー3DSに加えて、従来型のニンテンドー3DSでも遊んでいただけるように、ニンテンドー3DS向けのNFCリーダーライターを周辺機器として展開します。これにより、従来型ニンテンドー3DSでもamiibo対応ソフトを楽しんでいただけるようになり、対応ハードの台数が一気に増えますので、amiiboの今後のさらなる普及につながると期待しています。
次に、デジタルビジネスの進捗についても、簡単にアップデートしておきます。
これは、ここ3期間のダウンロード売上の推移です。
第3四半期に続いて、第4四半期のダウンロード売上も大きく伸び、当期のダウンロード売上は313億円となりました。
当期にダウンロード売上高が30%ほど増えたのは、特に海外市場において、ニンテンドー3DSとWii Uのパッケージ併売ソフトの売上が共に増えたことによるものです。
さて、ここからは、今後の展開についての話です。
今、ゲームビジネスは大きな変革期を迎えています。インターネットやソーシャルメディアの普及が、世界中の生活者のみなさんのライフスタイルを大きく変化させており、任天堂もその環境変化に対応するための戦略的な取り組みを開始しています。
私たちが取り組んでいるのは、任天堂IPの価値を最大化するために、これまでゲーム専用機に集中させてきた任天堂IPを、さまざまな形で活用することです。amiiboは、その取り組みのひとつですが、先般発表したように、スマートデバイスを活用することもそのひとつと位置づけています。スマートデバイスは、お客様が社会とつながる窓としての存在感がますます大きくなっていますから、スマートデバイスを情報伝達の手段として活用することはもちろんですが、
お客様に、任天堂IPに継続して密に接触していただくために、スマートデバイス上のゲームビジネスにも、任天堂IPを展開します。
本件については、DeNAさんとの協業について3月17日に発表しました。任天堂とDeNAさんは、それぞれ異なる強みを持っており、それを補完し合うことで、勝算を持ってこのビジネスにチャレンジすることができると自信を持っております。
年内には第1弾のアプリのサービスを開始します。任天堂社内でも、スマートデバイス上のビジネスを推進するための組織編成や人事を進めており、また、サービス開始に向けてさらに実施していく予定です。
3月17日にもお話ししましたが、展開するIPに例外を設けないことにしています。その一方で、今やスマートデバイス上のゲームビジネスは極めて厳しい競争の時代に入っており、たとえ著名なIPを活用したとしても、品質が十分ではない中途半端なアプリでは成功の可能性は極めて低くなっています。また、ゲーム専用機で実績があるソフトをそのまま移植しただけでは、スマートデバイスでのプレイスタイルに適合せず、また最適なビジネスモデルも異なるため、大きな成功は望めません。任天堂は、やる以上はここで成果を出さねば意味がないと思っていますので、スマートデバイスに展開するIP・タイトルを厳選して投入します。タイトル規模的には、来年度末、すなわち2017年3月末までに5タイトル程度とお考えください。これは、少なく聞こえるかもしれませんが、一つひとつをヒット作に導くことを狙い、しっかり運営することを考えると、決して規模の小さい中途半端な取り組みではないと考えています。
最終的には、グローバルに順次サービスを展開し、世界中で億単位のお客様に楽しんでいただけるようにすることで、当社の収益構造のひとつの柱を作りあげていくことを目指しています。
一方で、任天堂は、ゲーム専用機の未来に、強い情熱と展望を持っています。
スマートデバイスでのゲームビジネスを展開することは、ゲーム専用機が衰退すると考えているからではなく、スマートデバイスでのゲームビジネスを展開することで、より多くのお客様に任天堂IPに親しんでいただき、より多くのお客様にビデオゲームの魅力に触れていただいて、ゲーム専用機のゲームにも触れていただきたいと思っています。そのためには、両者の間に架け橋を架けていく必要があります。
先般のDeNAさんとの協業発表の際に、「一体型メンバーズサービス」についてお話ししたのは、まさにこの架け橋を作り出すことがポイントになります。
対象としては、現行のニンテンドー3DS、Wii U、そして、現在開発中の新しいコンセプトのゲーム専用機NX、そして、スマートデバイスやPCなど、複数のデバイスを統合するものになります。