継続的なゲーム人口の拡大のために、私達が重要だと考えていることがもう1つあります。 それは、ゲーム熟練者の方々にご満足いただくだけではなく、ゲーム初心者の方にもご満足いただけるような商品を展開していくことです。この2つが両立しなければ、ゲーム機を日常的に触っていただくお客様の数は継続して増えていくことはあり得ません。これまでのゲーム業界の常識としては、「この商品は初心者向けだ」、「こっちの商品は上級者・熟練者向けだ」と、商品ごとにどんどん商品を細分化してソフトラインナップを揃えていくというのが一般的なアプローチでした。このような方向で成熟が進むとお客様がどんどん細かく分断されて、その結果、対象も狭まり、そしてゲームを楽しむお客様の数が減っていくことになってしまいます。かつてのシューティングゲームや格闘ゲームがどうなったかを思い起こしていただくと、すぐにご理解いただけると思います。もちろん、1つのゲームを初心者の方にも熟練者の方にも楽しめるようにすることは確かに容易ではありません。しかし、そう考えてゲームの細分化を進めたことが、結果的にゲームの市場を狭めてしまったのではないかと考えた私達は、「初心者と熟練者の間にある心理的な壁を壊す」ことに真正面からチャレンジすることにしたのです。
DSで6月に発売した『ゼルダの伝説』は、このテーマに真正面から取り組んだものです。 ゼルダと言えばゲーム熟練者向けのゲームの代表格で、従来は、ゲーム初心者の方々に受け入れていただくことは難しいと考えられていました。今回、DSの特徴であるタッチペン操作を取り入れることで、熟練者、初心者、両方のお客様にアピールしようとしました。 もちろん、「タッチペンで遊べるゼルダ」に対して、不安を感じたゼルダファンの方も多数いらっしゃいましたが、その結果として、初動型ソフトとしてこれまで販売されてきたゼルダが長期間安定した売れ方に変化し、
これまで男性ユーザー圧倒的優位だったゼルダシリーズの中で、DSゼルダは女性登録比率が高くなりました。クラブニンテンドーでは、登録データで男性比率が高めに出る傾向がありますので、実際の女性比率はさらに高いものと考えられます。特に、女性の中でも10代後半から30代前半にかけての女性のお客様が多く、また、会員様の中には、『New マリオ』や『どうぶつの森』で始めてDSを触り、そして今回初めてゼルダシリーズを遊ばれている方が多いこともわかっています。 そして、この取り組みは、ゲーム初心者にご満足いただいただけでなく、タッチペン操作に不安を持っておられたゲーム熟練者のみなさんにも最終的には納得していただけたのではないかと感じています。
スーパーマリオの3Dアクションの本流として、この年末商戦の口火を切る、『スーパーマリオギャラクシー』も、初心者と熟練者の間の心理的な壁を壊す、ということに挑戦する商品です。 一般的に、「3Dアクションはゲーム初心者が遊ぶのは無理だ」というのが業界の常識とされてきましたが、これにチャレンジした意欲作と言えます。