株主・投資家向け情報

2014年5月8日(木) 決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡

これは、スマートフォンの場合のレイアウトですが、このWebサービスによって、より多くのみなさんに手軽に、任天堂公式動画をご覧いただいたり、ランキングを表示したり、自分のフレンドの共有した動画や、自分の参加している大会の動画をご覧いただけます。
1月の経営方針説明会でお話ししたように、任天堂では、これからお客様とのつながりをニンテンドーネットワークID、短い表現ではNNIDによるアカウント単位で築いていく方針です。今ご紹介しているこの「マリオカートTV(仮称)」は、NNIDをお持ちでない方にもお使いいただけますが、NNIDを使ってログインしていただくと、自分のランキング、自分のフレンドの共有した動画、自分の参加している動画などを簡単に探すことができるようになり、外出先でもスマートデバイスで便利に使っていただけると思います。
ゲームをもっと楽しんでいただくために、また、ゲーム機の前にいないときにゲームソフトとの関わり合いをより密に持っていただくために、このような取り組みも、順次展開していきます。


今後の新たな収益機会の拡大ために、デジタルビジネスの大幅な拡大が大変重要であるということは、ここ数年頻繁に申し上げてきましたが、任天堂プラットフォームでのデジタルビジネスは、ここ2年で大きく拡大しました。


これは、前期までのダウンロード売上高の推移です。
ご覧のように、3〜4年前には、ダウンロード売上高が停滞していた時期がありましたが、この2年で3倍の水準に急激に伸びています。これは、

  • ニンテンドー3DSやWii Uのネットワーク接続率が、これまでの当社プラットフォームよりもかなり高い水準にあり、ダウンロード専売のソフトやサービスも充実してきたこと
  • ニンテンドーeショップが、ゲームに関する情報を得るためのチャネルとして、定期的にお客様が訪問してくださる場所として認知が高まったこと
  • パッケージソフトのダウンロード販売を開始して、デジタルビジネスの領域を広げたこと
  • 小売店さん経由のPOSAカードなど、デジタルビジネスにおける支払い方法の拡大を進めたこと

など、過去数年で取り組んできたことの結果だと考えています。特に、この成長が、任天堂全体のビジネスが拡大できていない中で起きていることとして考えたとき、この分野の成長をこれからも持続することは、環境変化に対応するための大きなポイントになると考えています。
今日は、その中で、小売店さん経由のPOSAカードに続き、デジタルビジネスにおける決済の利便性向上について、ひとつお話ししたいと思います。


1月の経営方針説明会において、「Wii U GamePadに搭載されているNFC機能を徹底活用する」ということについてご説明しましたが、それに関連して、


昨年のこの場で、日本で最も普及が進んでいる交通系電子マネーであるJR東日本様のSuicaを用いて、Wii U GamePadに搭載されているNFC機能を利用した決済が実現できるように、検討を進めているということを申し上げていました。
お話ししてから少し時間がかかってしまいましたが、今年の夏に予定している本体更新で、Suicaによる決済が実現できる見通しが立ちました。


すでに、JR東日本様では、交通系電子マネーにおいて、広く相互利用を実現されていますので、Wii Uでは、Suicaと相互利用できるさまざまな交通系電子マネー、例えばPASMOやICOCAなどもご利用いただけることになります。
2014年3月末現在で、Suica電子マネー対応カードの発行枚数は、約4420万枚、相互利用できる交通系電子マネー対応カードの発行枚数は、合計で約8000万枚にもなります。


これにより、Wii Uは、家庭内ゲーム機として初めて、交通系電子マネーを活用した決済手段を持つ、インターネットに接続されたデバイスとなります。
Wii Uは、ゲーム機の普及台数としてはまだまだこれからの段階ではありますが、国内のインターネットに接続されているWii Uはすでに約130万台あります。現在、Suica利用可能店舗数は約25万店舗、端末数で45万台以上とお聞きしていますが、これに加えて、 交通系電子マネーの決済手段を持つ端末が、一般家庭に一気に100万台以上普及することになり、そのインパクトは決して小さくないと思います。


今まではデジタルで決済をされるときには、クレジットカードをご利用いただくか、お手間をとっていただいてプリペイドカードをお買い求めいただき、まとまった金額をチャージしていただく必要がありましたが、交通系電子マネーによるNFC決済が実現すれば、 お客様にとってずっと手軽な手段をご提供できることになります。
現在、NFC機能を使って決済できる電子マネーは、日本国内での普及が先行しており、この機能は日本先行でご提案する機能となります。
その一方で、日本では海外と比べますと、クレジットカードをインターネットを通じて利用されることに抵抗感をお持ちのお客様が多いと言われており、実際に海外に比べてプリペイドカードの利用割合が高くなっていますので、その観点からも、お客様の利便性向上のお役に立てると考えています。
そして同時にこれは、任天堂にとっても、ビジネスパートナーのみなさんにとっても、Wii Uを活用した、新しいビジネスの可能性を産み出す機会になると考えています。
また、NFC機能に関連して、本日、もうひとつお話ししておきたいことがあります。


1月末の経営方針説明会において、「キャラクターIPを積極的に活用していく」という方針について、お話をさせていただきました。
それ以来、以前にも増して、いろいろな方々から、任天堂キャラクターIPのライセンスやそれを活かした協業の可能性について、コンタクトや具体的なご提案をいただいております。
今日の段階で、具体的にご説明する段階になっているものはありませんが、今までライセンスしてこなかった種類の事業についても、協業の可能性についてさまざまな可能性が出てきましたので、年内に具体的にお話しできるものが出てくると思います。


一方で、「キャラクターIPを積極的に活用していく」という経営方針は、ライセンス事業の拡大のみを意味するものではありません。
一般的なライセンスビジネスは、あくまで他社さんがリスクをとって展開されるビジネスからライセンス料をいただく構造になりますから、収益率は高いビジネスになりますが、その一方で、自社で展開する事業に比べると、どうしても、売上や収益へのインパクトは限定されがちです。



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