「キャラクターIPの積極的な活用」によって新たな成長分野の柱を確立するためには、任天堂自身がリスクをとって、キャラクターIP資産をどのように活用するか、という取り組みを併せて展開することも重要になると考えています。
具体的には、自社でビデオゲームのソフトをつくること以外に、キャラクターIP資産を活用した、何か柱になる事業を展開する必要があるということです。
この展開の第1弾として、任天堂では、
この年末商戦から、ビデオゲームと連動する、NFC機能を埋め込んだフィギュア群を展開することにしました。
私たちは、この商品群を、NFPという開発コード名で呼んでいます。NFCを活用したPlatformである、ということと、Nintendo Figurine Platformに由来しています。
このNFPの大きな特長は、特定のソフトの周辺商品として考えられているのではなく、NFP自身がプラットフォームとして考えられており、
任天堂プラットフォームで展開していく複数のソフトとの連係を前提に設計されていることです。
すなわち、お客様にお買い求めいただき、集めていただいたフィギュアは、任天堂が今後展開していく複数の対応ビデオゲームと連動するようになり、その対応ゲームを順次増やしていくことを目指しているということです。
任天堂には、ゲーム生まれの多くの知名度の高いキャラクターIPがありますし、また、それらを活用したシリーズ作のゲームが定期的に展開されていますので、それらがNFPと連動することで、新しい形のプラットフォームが生まれると考えています。
NFPには、読み込みだけでなく、書き込みの機能もありますので、どのフィギュアがWii U GamePad上に載せられたのかがわかるだけではなく、ゲーム固有のコンパクトなデータを読み書きすることも可能です。これにより、自分のNFPをカスタマイズして、自分だけの任天堂キャラクターを育成する、というようなことが可能になっていく予定です。
この年末商戦に発売する予定のNFPに関する詳細については、6月にロサンゼルスで開催予定のE3で、具体的な対応ソフトや、展開するNFP商品の展示と併せて、詳しくご紹介する予定です。
また、現時点でゲーム専用機のハードウェアにNFCのリーダー・ライター機能が標準搭載されているのは、Wii Uのみです。
しかし、NFPがせっかくプラットフォームとして複数のゲームソフトと連動するように提案されたとしても、「Wii Uのみの市場規模では十分な市場規模に成長しないのではないか」という懸念をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
すでに4300万台以上普及しているニンテンドー3DSをうまく活用することができれば、この前提は大きく変わります。
任天堂では、来年前半の発売を目指して、ご覧のようなニンテンドー3DSシリーズ向けのNFCリーダー・ライターの開発を進めています。これにより、ニンテンドー3DSとこのリーダー・ライターは赤外線を通じてやりとりし、お客様のお手元のニンテンドー3DSで、NFCの読み書きができるようになります。
すなわち、今回ご提案するNFPは、この年末はWii Uのソフトに、来年にはWii Uとニンテンドー3DSのソフトに対応していく、ということを意味します。
Wii Uとニンテンドー3DSのゲームソフトと連係する、NFPという新しいジャンルの商品群の展開は、「任天堂のキャラクターIPの自社による積極的な活用」としての先行事例としての意味を持ちます。
そして同時に、任天堂製品の売り場に、ゲーム機ハードの化粧箱やソフトのパッケージだけでなく、任天堂のキャラクターのフィギュアが展示・陳列されることは、露出拡大により、任天堂キャラクターIPを知っていただくきっかけ、ゲームに触れていただくきっかけをつくるうえでも、大きな意味があると考えています。
本日、私からのプレゼンテーションは以上です。今期は、収支のバランスをしっかりと回復し、業績予想で掲げているような増収増益を目指してまいります。
ご清聴、ありがとうございました。