先ほどお話ししたように、ニンテンドー3DS版『スマブラ』が良いスタートを切りましたが、このことがWii U版にどのような影響があるのか、ということをお話ししておきたいと思います。
『スマブラ』を3DSとWii Uでマルチ展開して、ニンテンドー3DS版を先行することについては、「需要の先食いになるのではないか」「せっかくのWii Uの普及の切り札が弱まるのではないか」というご意見もいただいていましたが、実際にここまで来て、このマルチ展開は、『スマブラ』がより大きく盛り上がることにつながる手ごたえを感じています。
先週、10月24日朝に「大乱闘スマッシュブラザーズ for Wii Uがスゴい50の理由」という動画を公開しましたが、非常にたくさんのお客様にご覧いただき、大変大きな反響がありました。マルチ展開といっても、ニンテンドー3DS版とWii U版では、それぞれの特長を活かし、それぞれの遊び方に最適な遊びをたくさん盛り込んで仕上げています。今回の動画の公開に先駆けて、多くのお客様が「3DS版が発売された今、Wii U版に50も新情報があるのだろうか」と感じておられたことを、良い意味で裏切るような多くのWii U版ならではの差別化要素をお知らせしたことで、Wii U版の予約も急伸しています。
スマブラは多人数プレイの、「誘い誘われ構造」で動くゲームですので、このようにしっかりと差別化ができると、需要の食い合いが起こるのではなく、3DS版が売れれば売れるほど、盛り上がれば盛り上がるほど、Wii U版にも魅力を感じていただく相乗効果が働くと考えています。
そして、Wii U版『スマブラ』と同時に展開される、新カテゴリー商品『amiibo』が登場します。amiiboは、NFCチップを搭載することで「ゲームとつながるフィギュア」であり、任天堂自身が手掛ける任天堂IPの活用事例でもありますが、単にそれに留まらず、この商品群によって、いくつかのことを同時に実現することを狙いとしています。
まず、amiiboは、ゲームのパッケージソフトよりは、手軽でお求めやすい価格帯の商品になります。ゲームソフトを頻繁に購入いただくことは難しくても、順次発売されるフィギュアを少しずつ買いそろえていただいたり、ゲームソフトに関する話題が定期的に生まれ、稼働を維持するためのきっかけにしたいと考えています。
今後も『スマブラ』のプレイヤーキャラクターは、年明けにも順次展開していきますので、これによって売り場に変化を出していきたいと思っています。現実には、売り場の棚面積は有限ですので、amiiboには、定番化するものと、順次入れ替えていく売り切り型のものに分かれていくと思います。
このような展開で、店頭に常に任天堂キャラクターの存在感を維持すること、そして通常であれば、箱ばかりが並んでいる店頭に、任天堂キャラクターの立体物が並んでいくことには、大きな意味があると思っています。
また、当初はWii Uのみの対応からスタートしますが、今後は、ニンテンドー3DSでの対応を積極的に推進します。Newニンテンドー3DSでは、NFCリーダーライター機能を搭載していますので、ソフト側の対応でamiiboにそのまま対応できますし、従来のニンテンドー3DSでも、来年発売予定のNFCリーダーライターを活用することで、amiibo対応のソフトを増やしていきます。
amiiboは、特定のソフトが対応するだけでなく、複数のソフトが対応することで、新たな価値を生み出すことを目指している、新カテゴリー商品群です。ひとつのamiiboが、別の対応ソフトでも付加価値を生み出すことで、持っていて嬉しい存在、新しいソフトで試したくなる存在にしたいと思っています。
ちなみに、『スマブラ』でのamiibo対応は、フィギュア自身が闘うことで成長するキャラクターとなり、自分のライバル、あるいは自分のパートナーとして、一緒に楽しむことのできる存在になります。
もちろん、ソフトごとにいろいろな使い方を想定していますので、このような使われ方に限定するものではありません。来年、登場するいろいろな商品で、amiiboの対応例をご提案していきたいと考えています。
ビデオゲーム専用機の世界でも、ソフトウェアをデジタル流通で販売する割合が高まってきていますが、この間、任天堂が取り組んできたことを、この場でいくつかお話ししたいと思います。
この夏からWii UでJR東日本様のSuicaをはじめとする交通系電子マネーによる決済が始まりました。
これにより、少額決済のハードルが低下し、また、これまでデジタルでの商品購入をされたことのないお客様が、デジタルで決済を経験されることも増えています。
これは、言いかえると、デジタルでの商品購入のハードルを乗り越えたWii U本体の台数が増えたということで、デジタルビジネスにおいて重要な「決済のハードルの低減」にSuica決済機能の導入が寄与できているということです。
また、特に手ごたえがあるのが、カラオケの1日券などがわかりやすい例になりますが、500円以下の支払いでの利用率が高いことです。
Newニンテンドー3DSでも、Suica決済が実現できるように検討を進めていますが、これが実現できますと、ニンテンドー3DSには500円以下のデジタルコンテンツが大変充実していますので、また、新たな可能性が開けるのではないかと期待しています。
また、デジタルビジネスにおける「お客様との接触面積の拡大」についても、引き続き取り組みを進めております。
国内市場においては、デジタル流通の販路拡大を積極的に進めており、コンビニチェーン様では、セブン-イレブン様に加えてローソン様でのPOSA方式のダウンロードカードの販売を開始しました。また、オンラインショップ様においては、Amazon様でのダウンロード番号の販売を開始しました。
その結果、3DS版『スマブラ』のダウンロード版は、これまで発売したどのソフトよりも流通様経由で販売された割合が高くなっており、販路の拡大が市場規模の拡大につながる手ごたえを感じています。
一方、アメリカ市場では、現地子会社・Nintendo of Americaのホームページであるnintendo.comでのデジタル直販を今月より開始しました。
ソフトに興味を持っていただいたお客様は、さらに深い情報を調べるために当社ホームページを訪問してくださいますので、そこから、ご覧のように、デジタルでの購入、あるいは取り扱っておられる小売店さんを紹介する仕組みになっています。
また、パソコンでのアクセス以外にも、スマートデバイスからのアクセスにも対応するようになっているなど、利便性の向上と共に、お客様とデジタルコンテンツとの接触面積を拡大し、購入をより簡単に便利にできるように取り組んでいます。
このように、各国の市場性、マーケットや商習慣に応じた形でデジタル販路を拡大し、お客様と当社商品との接触面積を拡大する取り組みを今後、さらに積極的に推進してまいります。
また、ダウンロード版を購入いただいたお客様に対する利便性向上についても、対応を進めています。
これまで、オンラインショップ様で購入されたダウンロード版をご使用いただく場合、お客様のゲーム機本体をわざわざ起動いただいて、ニンテンドーeショップ上でダウンロード番号を打ち込む必要があり、お客様の使い勝手という点では課題がありました。
今後は、対応いただいたオンラインショップ様での購入時にニンテンドーネットワークID(NNID)とパスワードを入力していただくことで、ダウンロード番号をWii Uやニンテンドー3DSのeショップに入力していただくことなく、「いつの間に通信」を介して、ソフトが自動でダウンロードされるようになります。この機能を活用いただくと、例えば、外出中にオンラインショップ様で購入したソフトのダウンロードが、自宅に戻る前に始まりますので、帰宅後ダウンロードをお待ちいただくことなく、すぐに楽しんでいただくことも可能になります。
この機能は、本日より楽天ブックス様、ヨドバシ.com様でご利用いただくことが可能となり、その後、Amazon様などでも導入される予定となっています。
先ほどご紹介した、アメリカのnintendo.comのデジタル販売においても、この自動配信の仕組みに対応しており、購入時に、この画面のオレンジ色の部分をクリックして、NNIDとパスワードを入力して購入すると、ダウンロード番号をゲーム機のニンテンドーeショップに打ち込むことなく、購入した後、いつの間に通信を用いて、ソフトが自動的にダウンロードされる自動配信が可能になっています。