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2007年10月26日(金)経営方針説明会/中間決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡 講演内容全文

また、日本のゲーム人口拡大に大いに貢献した脳を鍛えるソフトですが、海外でも大きく伸び、9月末現在での全世界累計の出荷数は966万本になりました。


これは、日米欧の市場で、発売からどのように脳トレソフトの販売が進んだかの推移を示すグラフですが、このグラフを見て、私自身もちょっと驚いているのですが、私自身「脳トレを海外でも売ろう」と言い出したときに、まさかこんなことが起こるとは想像もできませんで、特にヨーロッパの伸びが非常に顕著で、日本の数字にほぼ追いついております。そして傾きを見ますと近日中に追い越すことはほぼ確実な情勢です。この緑色のグラフの傾きが示す通り、まだまだ伸びていきそうな手応えがあります。


そして、日本では松嶋菜々子さんの宣伝をきっかけに爆発的に売れたシリーズ2作目ですが、今年6月にヨーロッパで、8月にアメリカでという珍しい順序で発売しました。


まだ、発売から日が浅いですから日本の500万本に近づこうとする数字には遠く及びませんが、ヨーロッパでは早くもホリデーシーズン前に100万本を突破しましたし、アメリカも前作の2倍のスピードで売れています。
このソフトは全世界の累計出荷数が753万本になり、脳トレシリーズ2作の累計出荷本数は、1,719万本に達しました。


Wiiという全く新しい据置型のマシンを発売したときに、これが一体どれだけのペースで世の中に受け入れていただけるか、私達にもわかりませんでしたし、また世の中の誰にわかっていなかったと思います。そしてWiiが発売された後も、「確かに面白いけど一過性のブームですぐ飽きるのでは?」という懐疑的な声があったことも事実だと思います。
結果として、日本では、DSで始まったゲーム人口拡大の波に乗って普及が進むことになりましたが、アメリカではDS以上にWiiが勢いを獲得するというような流れとなっています。


これは、さまざまな過去の据置型ゲーム機が発売からどのようなペースで普及していったのかを示すグラフですが、Wiiの普及ペースはその中でも抜きん出ており、据置型ゲーム機史上、アメリカのゲーム史上、最も速いペースで普及が進んでいます。そして、未だに需要に供給が追いつかない状況が続いています。先ほどお話しした通り、イギリスでも同様の状況が起こっています。
当社では、この需要期に向けて1台でも多くのWiiをお客様にお届けすべく、増産に向けてさまざまな努力を重ねてまいりました。現時点で、Wii本体の月産台数は180万台になっており、当面はこの規模での生産を維持する予定です。


このように、海外市場での販売が好調に推移し、日本の対前期の伸びが28%程度(これでも十分いい伸びだと思いますが)であるのに対し、海外の対前期の伸びは約3倍の売上になりました。日本で最初に生じたゲーム人口拡大による市場拡大が、本格的に海外に波及してきたと感じています。
その一方で、当然のことなんですが、


「この中間期までの流れは今後も続くのか」という疑問をお持ちの方も多いと思います。特に、ソニーさんが、PS3にソフトをバンドルされたり、PSPの新しいモデルを出されたり、PS3を値下げされたりしておられますし、また、マイクロソフトさんも世界各地でソフトバンドルや値下げなどの施策を打ち出されています。「任天堂も対抗して値下げをしないのか」というようなお問い合わせも各方面からいただいておりますが、当社は大変ありがたいことに如何に需要にお応えするのかということに集中すべき状況が続いておりますので、値下げについては全く考えておりません。しかしながら、今後を見通すためにも、他社さんの施策が、当社ハードの販売にどのように影響を与えたのかを分析しましたので、その結果についてご説明いたします。


このグラフは、NPDによるDSとPSPの各月の販売数を元に、アメリカ市場における1週間あたりの販売数の推移を示したものです。NPDデータは毎月出てきますが、月によって4週間の集計と5週間の集計の月があります。それをこのように1週間あたりの販売数に変換することで、販売ペースの変化を正確に見極めることができます。
アメリカでは、今年の1月に、DSは深刻な品切れ状態にありましたので、2月以降の数字を見ていただきたいのですが、今年3月のPSPの値下げ、9月のPSPの新モデルの発売があったにもかかわらず、DSの販売ペースにはほとんど影響が出ていないことがわかります。



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