株主・投資家向け情報

2009年10月30日(金)経営方針説明会/第2四半期(中間)決算説明会
任天堂株式会社 社長 岩田聡 講演内容全文

そして、この年末には、これも、ロングセラーとしてWii市場の活性化とハード牽引の役割を担う、NewスーパーマリオブラザーズWiiが世界各地で展開されます。今日は、宮本も来ていますので、後で、このソフトの開発の狙いについては、お聞きいただくのが良いと思います。


また、この年末に、DSではゼルダの伝説シリーズの最新作も日本・アメリカ・ヨーロッパに展開します。


では、これより、昨日発表させていただいた、ニンテンドーDSシリーズの新しいモデル、ニンテンドーDSi LLについて、本日は、会場入り口で展示をしておりましたので、ご覧いただき実際に体験いただいた方も多いと思いますが、その開発の狙いについてご説明したいと思います。


これまで、携帯型ゲーム機にとって、カラーバリエーションというのは、ゲームボーイ時代から展開されてきましたが、今回、ニンテンドーDSシリーズとして初めてのサイズバリエーションとしての商品展開です。
液晶サイズは、4.2インチ2画面です。
といっても実感が湧きにくいと思いますので、画像でご覧ください。



一番右(写真上の右側)が、2006年発売のニンテンドーDS Lite、左(写真上の左側、および写真下の右側)が2008年発売のニンテンドーDSiです。
これに対して、この一番左側(写真下の左側)が、ニンテンドーDSi LLです。


画面サイズを比較しますと、
ピンク色の点線がニンテンドーDSiの3.25インチの液晶サイズ、白い点線はニンテンドーDS Liteの3インチの液晶サイズです。


DSi LLの画面面積をDS Liteと比較しますと93%増、DSiと比較しますと67%増ということになります。


これだけを聞くと、ニンテンドーDSiの画面が大きくなっただけか?あるいは、任天堂はシニア専用DSを出すのか? というように感じられるかも知れませんが、任天堂は、もちろんそれだけで新たなモデルを提案するということはありません。ニンテンドーDSi LLは、画面が大きくなっただけでなく、まわりの人と一緒に楽しめる初めての携帯ゲーム機という新しい特徴を持っています。
そもそも、携帯ゲーム機と言えば、「場所を選ばずに一人で遊ぶもの」というのが通常の理解だと思います。事実、今までの携帯ゲーム機は、持ち歩きを優先して一人でプレイすることを前提に作られていましたから、 コストの制約もあって画面も小さかったですし、液晶は斜めから見ると絵が綺麗に見えませんでしたから、構造的に「一人で遊ぶもの」にならざるを得ませんでした。
DSi LLは、画面の面積がDS Lite比で約2倍になっただけでなく、視野角の広い、言い替えると、斜めから見ても絵が綺麗に見える液晶を採用しています。このため、従来と違って、直接プレイしている以外の人も、のぞき込むようなことをしなくても、何が表示されているか、綺麗に良く見えるという特徴があります。
携帯型ゲーム機で周囲の人と一緒に遊ぶには、今までは、人数分の台数のゲーム機をワイヤレス通信でつないで遊ぶという遊ばれ方が一般的でした。任天堂は、これからもDSで広がったこういう遊び方を推進していきますが、DSi LLは、1台で「周囲で見ている人も一緒に参加する」という遊び方が可能になるという提案です。


そもそも、据置型のゲームを思い浮かべていただくとわかりますが、魅力的なゲームの面白さは、遊んでいる人だけでなく、周囲で見ている方にも伝わるという特徴があります。ゲームというのは、そうやって広がってきた娯楽なのですが、従来の携帯型ゲームでは、画面をのぞき込んでもらわない限り、周囲の人と一緒に楽しむことはできませんでした。実際、周囲で見ている人がいることで楽しみが倍加するソフトがあります。ちょっと例を挙げてみますと、先ほどもご説明したように、「トモダチコレクション」というゲームが売れ続けていますが、このソフトは、「自分や自分の家族・友人などの分身」を似顔絵としてDSの世界の中に作り、その分身たちの生活を観察する、というちょっと変わったソフトです。そして、このゲームは、家族や友人との交流がテーマになるだけに、一人で見るだけでなく、まわりの人にも一緒に見てもらうことで、より一層楽しめる構造になっています。
また、11月の後半には、「レイトン教授」シリーズの最新作が日本で発売になります。このソフトは、多湖 輝さんのベストセラー本である「頭の体操」シリーズのパズルをストーリー仕立てにしたDSゲームの人気シリーズです。もちろん、パズルを一人で楽しむこともできるのですが、謎が解けずに詰まったときは、周囲の人との対話を生むという特徴を持ったソフトでもあります。謎解きは、周囲の人と一緒にチャレンジすると、楽しみも倍加しますから、構造的には、家族や友人と一緒に楽しむということにも非常に向いたソフトです。
「トモダチコレクション」や「レイトン教授」を、DSi LLで、周囲の人と一緒に遊ぶというのは、これらのソフトがもともと持っていた魅力が、さらに大きく引き出されることにつながります。すなわち、同じソフトがDSi LLの新しい特徴によって、魅力が強化され「化ける」可能性があるわけです。


一般的に大画面DSと聞けば、「シニア用のDS」を任天堂は作ったんだという認識に陥りやすいと思います。これまで、「今までのDSは画面が小さ過ぎてちょっと辛い」という方がいらっしゃったのは事実ですし、今年の任天堂の株主総会でも、ある株主の方から「ぜひ大きな画面のDSをつくってほしい」という要望をいただきました。もちろん、ハードの開発には時間がかかりますので、株主総会でそのお話しを聞いてつくって、この年末に発売というのは不可能なのですが、そういうニーズも、もちろんあると思います。
DSi LLは、従来のカラーバリエーションに加えて、DS初のサイズバリエーションの提案という側面を持っていますが、一方で、家庭内での携帯ゲーム機の新たなプレイスタイルの提案をするものでもあります。
以前から、世帯あたりユーザー数の重要性についてお話ししてきました。DSがこれほど普及したのは、「脳トレ」などに代表される新しいジャンルのソフトで家庭内でDSをプレイしていただける人数が増え、家族全員から「自分に関係のある存在」と意識していただけたことが非常に大きな要因になっていると思います。
その意味で、「プレイしている人だけでなく、まわりの人も一緒に遊べる初めての携帯ゲーム機」という位置づけは、これまで携帯ゲームになかったものではありますが、DSというゲーム機の性格ととても相性が良いものであるということは、おわかりいただけるのではないかと思います。




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