これは、携帯型ハードがアメリカ市場で毎月どのように売れているか、NPDのデータを元に、1週間あたりの数値にして比較したグラフです。
年末商戦において、DSは販売を伸ばしました。ニンテンドー3DSの発売を控えた昨年12月の販売数250万台は、決して悪い結果ではないと思いますが、2009年12月の実績は330万台という非常に大きな数字でしたから、その実績には届きませんでした。
これは、2008年から2010年にかけての、アメリカ市場における携帯型ハードの年間販売台数の推移です。
昨年は携帯型ハードの販売が前年を下回ってしまいましたが、その一方で、DSの市場シェアは、前年の82%から、昨年は84%に増加しています。
全体の比率で見ると、DSのソフトシェアはより高まっていることも事実です。
もちろん、数量が減少している中、シェアが高まったことに満足している場合ではありませんが、少なくとも、日本国内とは全く異なる状況にあることがおわかりいただけると思います。
ソフト市場を全体で見ると、携帯型ソフト販売本数の減少が原因となって、ソフト販売本数は2年連続で減少しています。
日本と比較すると、据置型と携帯型のソフト販売本数の割合が全く異なること、そして、ソフトの市場規模が遥かに大きいことがおわかりいただけると思います。
ソフト全体を3社のハードメーカー別のシェアの推移で見ますと、任天堂は前年より市場シェアが低下しましたが、Wii・DSのソフト販売数が減少しているにも関わらず、市場全体が健全に推移していた2008年時点でのシェアと比べても、任天堂プラットフォームのシェアがほとんど変わっていないということは、みなさん意外に思われるのではないでしょうか?
少しマクロなトレンドで見てみます。これは、昨年10月の経営方針説明会でもお見せしたグラフですが、任天堂がニンテンドウ64を発売した1996年以来の各暦年ごとの、ハードメーカー別のハード合計セルスルー台数の推移を、NPDのデータを元にグラフにしたものです。
前回は、2007年、2008年、2009年の3年間の任天堂ハードの販売台数は、業界の歴史上例のないレベルに到達していたとお話ししましたが、2010年も、任天堂の販売台数、すなわちWiiとDSの合計台数が1500万台を上回り、2007年とほぼ同水準となり、他の2社さんの2.3倍以上の実績です。また、今回初めて、マイクロソフトさんがハード販売台数でソニーさんをごくわずかな差で抜きました。
「任天堂の対前年比」だけに注目されるのか、それとも市場全体の中での任天堂の存在感にも併せてご注目いただくのか、どちらがよりバランスがとれているかということについて言えば、後者の見方もしていただきたいというふうに私たちは思っています。
最後に、ヨーロッパの市場についてお話しします。
ヨーロッパは多くの異なる特性を持つ国々の集合体ですし、NPDのようにデータがまとまって出てきませんので、その実態がわかりにくいようです。
まず先に、少し細かくなりますが、ヨーロッパの市場のヒットチャートを国別にご紹介します。これは、2010年のドイツの年間ソフト販売上位20位までのヒットチャートです。
ご覧のように、任天堂プラットフォームのタイトルが12タイトルあり、また、DSタイトルが多く含まれているのが特徴です。また、ヨーロッパでは、イギリスを除きXbox360の存在感が弱く、 マルチプラットフォーム展開されているソフトでは、アメリカと逆に、PS3バージョンが、Xbox360バージョンよりも上位になることがほとんどです。
アメリカとの傾向の違いとしては、ドイツではFPS(ファースト・パーソン・シューター)系の戦争ゲームが文化的な受容性によって上位にならないこと、任天堂プラットフォームでは、新しいものが受け入れられるのに時間がかかるドイツ市場の特性を反映して、前年以前に発売されているタイトルがより上位にいることなどがあります。『マリオ&ソニック』のDSソフトがランクインしていること、アメリカではチャートに入っていなかった『Wii Party』や『レイトン教授』シリーズの3作目が入っていることなどが特徴と言えると思います。
こちらは、フランスにおける昨年のソフト年間販売上位20位までのヒットチャートです。
フランスは、任天堂プラットフォームのタイトルがトップ20に多く含まれていて13タイトルあります。フランスはUbisoftさんの母国ですが、『JUST DANCE』、『JUST DANCE 2』の2本が、チャートに入っています。
フランスもXbox360タイトルの存在感が弱いことは、ドイツと共通です。